『プロミスト・ランド』/日常会話の機微を知る

2014年8月27日

プロミスト・ランド

 

★★★(3/5)

 

先日テレビで『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』が再放送されていた。この映画のパブやカフェでの会話シーンは何気ないようで実は物語の真髄だったりする。何度も観たはずなのに改めて気になったシーンがあった。それは二人の登場人物が向かい合わせで椅子に座り話し合っているシーンだ。ゆっくりとカメラが横に移動しながら一人の顔を映し出す。するとその顔が、もう一人の背部が邪魔になって少しの間見えなくなる。その間も会話が続いているので、今どんな顔をして会話をしているのだろう? と私はふっと気になりだすのだ。

 

さて『プロミスト・ランド』の話。シェールガス問題を扱った社会派ムービー。大企業の社員であるマッドデイモン扮するスティーヴとその同僚であるスーが、とある田舎で掘削をするために住民と契約を結んでいく。ただ社会派とは言えそんなに重厚な雰囲気ではない。だからこの映画からしっかりと社会問題の構造を学ぼうとする人にとっては少々物足りないだろう。実際、シェールガスの採取方法である「水圧破砕法」の問題点などは小学低学年でも理解できる程度に納められている(いや分かりやすくていいんですけど!)。

 

けれどもガス・ヴァン・サントのお墨付き。私が退屈することなくこの映画を観ることができたのは、やはり登場人物達の何気ない会話(シーン)のおかげであった。実は社会問題うんぬんよりも、そういった問題の中で登場人物達が日常をどう過ごしているのかがテーマではないかと感じた。スティーブとスーとの会話はウィットに満ちたとは言わないまでもそのリズム感が何とも心地良い。そして登場人物達のパブでのやり取りはとても魅力的だった。印象に残ったのは例の向かい合わせの会話シーンがこの映画でも活かされていたこと。一人の後頭部を挟んでもう一人の顔が遮断されたその瞬間、この映画は会話の中の機微をとても丁寧に扱っていると感じた。

 

そんな日常生活の中で改めて社会問題を捉えるという視点。人間というものは些細な心情が連続した有機体であるということをこれでもかと問うてくるガス・ヴァン・サントのその手法。この映画もその点においては平均以上の好評価。会話劇が好きな人にはおすすめだ。ただ映画としての輝き、つまり音楽や映像、物語自体の力が少し足りなかったのかな…。

 

 

 

 

自分はガス・ヴァン・サント監督だったらこれも好き↓

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
Copyright © 2020 アクト・オブ・リーディング ー 映画系カルチャーblog ー All Rights Reserved.  プライバシーポリシー