どうして映画は面白いのか?/「アニメ映画ベストテン」企画参加レビュー

2014年11月9日

戦場でワルツを

 

映画系ブログをはじめて3ヶ月目。映画を観るだけでなく様々な人のレビューを参照するようになった。そんな中で出会ったのがブログ「男の魂に火をつけろ!」の「アニメ映画ベストテン」企画だ。

 

ワッシュさんよろしくお願いします。はじめてのトラックバックで4回連続リンクさせてしまってすみません)。以下10作品を選んでみました。順不同で、ルール通りに各作品5.5点の配分となります。並びは上から順に、自分が作品を観た経歴順となっております(若干のうる覚え)。

 

風の谷のナウシカ (1984年 宮崎駿監督)
美女と野獣 (1991年 ゲーリー・トゥルースデイル監督/カーク・ワイズ監督)
AKIRA (1988年 大友克洋監督)
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊  (1995年 押井守監督)
千年女優 (2002年 今敏監督)
パーフェクトブルー (1998年 今敏監督)
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー (1984年 押井守監督)
ベルヴィル・ランデブー (2002年 シルヴァン・ショメ監督)
岸辺のふたり (2000年 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)
戦場でワルツを (2008年 アリ・フォルマン監督)

 

このようなベストを選考する際の評価基準は、どうしても作品自体の内容というよりも、当時観た時の思い出(思い入れ)のほうが圧倒的に比重が高い。ある特別なシーンでの感動や当時の人生観を喚起させるという意味で選んでみたのが以上の作品だ。

 

 

 

『美女と野獣』

 

映画はマンガでもテレビでもゲームでもない。僕が映画を「映画」としてひとつの独立した娯楽であること気付いたのはこの作品がはじめてではないだろうか(自己省察)。キッカケはたいしたことではない。たんに学校の授業(確か音楽だった)で見せられたのだ。もちろんその前にも「ドラえもん」やジブリ作品を観てきたが、レンタルビデオを自分で借りてきて、再度観直したのはこの作品が初めてであった。映画をひとつの芸術と捉えるようになった。

 

アニメ映画史上初のアカデミー賞作品賞ノミネート作品(第64回)でもある。

美女と野獣 ― スペシャル・リミテッド・エディション [DVD]

 

『風の谷のナウシカ』

 

多くのテキスト(書籍やウェブサイト)に接してきたが、映画などの物語をきっかけとして世相を語っていくようなスタイルが大好きだ。「ナウシカ」は映画館のみならずテレビやDVDで何度も観たが、作品に対する印象としては圧倒的にテキストからの影響で占められている。映画が語られることの楽しさを知った。

 

『虚構の時代の果て―オウムと世界最終戦争』大澤真幸(著)
ナウシカ自体に触れられている箇所は少ないが、世相を語るためにアニメや小説を取り上げていく。このようなスタイルに興味を持ったのは、この本がキッカケだ。

増補 虚構の時代の果て (ちくま学芸文庫)

 

 

『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 』

『千年女優』『パーフェクトブルー』

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

 

映画『マトリックス』(1999年)に影響を与えた本『シュミラークルとシュミレーション』の著者ボードリヤールが日本に訪問した際に、彼の講演を聴いたことがある。「現実と虚構」というテーマは、90年代後半からゼロ年代はじめにかけて、芸術や文化において語られていたパースペクティブのひとつである。上記アニメはそのようなテーマをもとに観た作品だ。そして映画を「時間」という枠組みで観ることも知った。時間軸をずらし、そこにどんどんと心象を積み重ねていく『千年女優』のプロットの巧みさには驚いた。映画ではないが今敏監督(彼の最後のブログ)のアニメ「妄想代理人」の世界観も大好きだ。物語の技術によって個と世界がリンクしていくことのたのしさを知った。

 

ボードリヤール 2003年最後の来日講演 

 

 

『ベルヴィル・ランデブー』『岸辺のふたり』

 

ベルヴィル・ランデブー [DVD]  岸辺のふたり [DVD]

 

様々な文化を楽しめ。一時期デザインの歴史にやたらと興味があって、美術史なんかもけっこうあさった。ロシアアヴァンギャルドなどのポスター芸術も大好きで、映画のチラシを集めるきっかけとなった。極度にデフォルメされたような絵は、むしろ現実に圧倒的な影響力を与える。映画も同じだ。『ベルヴィル・ランデブー』はほぼ無声の作品ではあるが、アール・ヌーヴォーを彷彿させる色使い、絵のデフォルメはもちろんのこと、物語自体も突如現れるシュルレアリスムなシーンが衝撃的だ。『岸辺のふたり』はわずか8分程の短編だが(ちゃんと劇場で上映された)、その物語性は圧倒的だ。コントラストによって描き出されるような風景を見るといつもこの作品を思い出す。

 

犬の夢の描写が特にシュールだ。『ベルヴィル・ランデブー』のワンシーン。

 

『岸辺のふたり』

 

 

『戦場でワルツを』

 

戦場でワルツを 完全版 [DVD]

 

限りなく社会的で限りなくアートな作品が大好きだ。人は自由を求めるけれども、社会から離れることは難しい。『戦場でワルツを』は監督自身によるレバノン内戦の体験をドキュメンタリー風に描いた物語だ。そんな内戦の最中で、ある時にふと社会から乖離していくような主人公の心理描写が描かれる。それら社会と個人による物語は、音楽とアニメによって限りなくアートな仕様で表現されている。そのような「軽さ」が、最後反動的に重さとなって現れてくる。僕はこのような時に映画の本質を観たな、と思う。知らない世界は、まだまだたくさんあるのだ。 END

 

音楽 Orchestral Manoeuvres in the Dark「Enola Gay」『戦場でワルツを』

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