『パターン・ランゲージ』/デザインを語るとはどのようなことか?

2016年10月23日

パタン・ランゲージ―環境設計の手引

 

 

パターン・ランゲージとは問題を解決するための共通了解を構築することでもある。

目の前の名状しがたい街の風景や美しい建築を見たような時に、自分は何故そのようなモノに感動したのかを言葉にしたいと感じたことはないだろうか? クリストファー・アレグザンダーはそのような感覚を「名づけえぬ質(Quality Without A Name)」と呼び、それら感覚を言語化することによって街づくりを行うためのフレームワークを考えた。

 

デザインをするということは「ある問題を解決する」ということでもある(だから良いデザインはその存在すらも忘れ去られてしまう)。そしてある現状で起こりうる問題とその解決方法を記述していくということも、デザインのワークフローとなる。その思考の一連の流れは「現状」「問題」「解決」という枠組みにおいて成され、一つのパターンとして形成される。アレグザンダーはこれらパターンを253用意し、街づくりや建築に役立てた。

 

例えば129番目のパターンである「中心部の共域」では、人間集団の触れ合いの問題について取り上げられている。この問題に対する指針を抽象化して考えたのが下記のような図である。人が触れ合う場となる共域が突き当りにあれば、人は「気軽に、自発的に利用しようとしない」。また共域が真ん中にあり、動線が貫通してもいけない。そこは「丸見えの空間になり、気軽にたたずんだり」できないからだ。バランスが良いのは、動線が「共域に接しながら通過し、しかも共域に開かれている場合」である。このようにある問題に対しての解答が一つのパターンとして提示され、将来同じような課題が生じたような時にこのパターンが活用される。

 

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ただし、たんにパターンを提起する(羅列する)ということだけが重要なのではない。大切なのは、それをいかに他者と共有しデザインに役立てるかである。一人の言葉はパターンとなるが、ランゲージとはならない。パターンを他者と共有することによってはじめて問題解決のための言葉(ランゲージ)となる。これは事物の客観化を前提とせずに人間はいかに世界を認知していくのかを議論とした現象学の「共通了解」という考え方にも当てはまる。つまりパターン・ランゲージとは思考をする上での前提条件、メタ認知そのものでもあるのだ。

 

アレグザンダーは「都市はツリーではない」と語ったが、その言葉が今でも語り継がれるのは、街や建物を構築していく手段そのもののみならず、その思想自体に大きな魅力があるからだ。その思想とは、街には住まない第三者による一方的な構築(ツリー)に対するアンチテーゼでもある。美しく見える街というのは、住民が自発的に創造し、生き物のように生成される。

 

このようなパターン・ランゲージとしての方法論は「デザインパターン」から、今では「アジャイル開発」といったソフトウェア開発へも継承されているが、モノを構築するということは、言葉が常に変化していくような柔軟な体制作りとも重なるのだろう。

 

 

オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン

 

 

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例えばユーザインタフェースデザインにおいて、どのようなパターン・ランゲージがあるのだろうか。

 

『ウェブデザインのつくり方、インターフェイスデザインの考え方。』/言葉の関係性を共有する

 

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