『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』からの価値論

2018年9月13日

制度をつくるとはどんなことだろう? あまりにも抽象的な問いかけだが、「制度の経済学」という分野が存在することをこの書籍から知った。それは市場メカニズムの需要と供給の一致によって完結した取引そのものではなく、取引を契約と見なし、その前後で生じるような問題に着目していく学問である。

 

現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論 (中公新書)

 

例えば本書で取り上げられているような「信用」としての問題がある。取引の前には相手の信用調査を行い、後にはしっかりと返済されたのかをチェックする。クレジットカード会社によってユーザーの情報が共有されるのは、返済を滞った人物が他のクレジットカードを利用できなくするためだ。つまりこのような仕組みの在り方が「制度」である。

 

制度は市場に限ったことではなく、企業などの組織内でも活用される。様々な組織をより良く運営するための認識がゲーム理論などと結び付き、契約の理論へと昇華される。経済史家のダグラス・ノースは制度を経済のインセンティブ構造として捉え、『制度原論』という著書では、より歴史的な観点から人間のコンセンサスの在り方を追求している。

 

このような「制度の経済学」が特に興味深いのは、市場メカニズムでは捉えられない資源配分のようなメカニズムの考察だ。組織を構成する仕組みを考える上で、市場の持つ価格では捉えられない問題が存在するということを教えてくれる。本書では言及こそされていないが、それは臓器移植のマッチング問題や研修医の配属先を決めるプログラムなどにも通じる考え方で「マーケット・デザイン」とも呼ばれている。市場では決定することのできない、価値としての問題がそこには存在する。とりわけモノを創る人間とって必要となってくる認識であることは間違いないだろう。

 

 

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